初めてのECサイト構築!構築方法別メリット・デメリットをまとめて解説

2020年10月20日
初めてのECサイト構築!構築方法別メリット・デメリットをまとめて解説

通販事業への本格参戦を目指しECサイトを開設したい、しかしどのように始めればよいかわからない、と悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか。ECサイト開設には様々な工程が必要とされ、その中で最初に行わなければならないのは、ECサイトを構築する方法の選定です。ECサイトを構築する5つの方法とそのメリットやデメリットを解説するとともに、構築方法の選び方についての手順や注意点を、初めての方にもわかりやすく紹介します。

手軽に始められるASP

ASPとは「アプリケーション サービス プロバイダ」の略称で、クラウド上に設置されたECサイト用のシステムを、ブラウザを通じて利用できるサービスです。ASPは経理関係ソフトなど様々なツールでも利用されています。

ASPによるECサイト構築のメリット

クラウド上のシステムを利用するため、独自にECサイトを構築する方法に比べ、格段にコストが抑えることが可能です。また、自社サーバーが必要ないため導入期間が短く済み、手間もあまりかかりませんし、サービスによっては無料で始められます。

ASPによるECサイト構築のデメリット

カスタマイズ性やシステム連携性が低く、自由なサイトデザインやシステム連携による業務効率化が行えない場合があります。機能の拡張に別途料金が必要であったり、月額料金の他に販売手数料などがかかる場合もありますので、ASPを利用する際はサービス内容を予め確認しておく必要があります。

開発力があるならオープンソース

コンピュータを動かすためのプログラムをソースコードと呼び、公開され自由に利用できるソースコードをオープンソースと呼びます。公開されたオープンソースを元に、自社にあわせプログラムの内容を書き換えることも可能です。

オープンソースによるECサイト構築のメリット

オープンソースを利用すれば、ベースとなるソースコードを一部書き換えるだけで、比較的簡単にカスタマイズすることが可能です。無料で利用できるオープンソースもあり、一から構築するよりもはるかにコストと開発期間を抑えられます。

オープンソースによるECサイト構築のデメリット

ソースコードを自社に合わせて書き換えるには、高度なプログラム知識が必要となります。マニュアルも存在しないことが多く、バグなどのトラブルが起きてもサポートが受けられない点も注意が必要です。オープンソースを利用する際は、全て自己責任で行う必要があるでしょう。

手堅く選ぶならパッケージ

パッケージは、カスタマイズやシステム連携が可能なECサイト構築の方法です。基本となるシステムがあり、それを元に必要に応じてカスタマイズしていきます。

パッケージによるECサイト構築のメリット

システム連携やカスタマイズを前提としているため、自社の在庫管理システムや受発注管理システムなどの基幹システムとの連携が可能となり、バックオフィス業務の負担が大幅に軽減できます。デザインも自由に変更が可能で、カスタマイズ性も高く、スクラッチと比べ導入コストも抑えることができます。

パッケージによるECサイト構築のデメリット

初期導入費用は数百万円以上かかるうえ、定期的なシステムのリニューアルが必要です。システムのリニューアルは、セキュリティやネット環境の変化、SEOへの対応が目的となっているため、同じシステムを使い続けると、利用するブラウザによってサイトデザインが崩れたり、検索順位が下がる恐れがあります。

最新システムが使えるクラウドEC

ASPと同じようにクラウド上にECサイトを構築します。ASPとの違いは、カスタマイズできる領域が広いため、自社の業務にあわせ自由に変更できる点です。

クラウドECによるECサイト構築のメリット

ECサイトのシステムがクラウド上にあり、常に最新にアップデートされるためシステムの更新を行う必要がありません。また、カスタマイズ性やシステム連携性も高く、パッケージのように自由にカスタマイズが可能です。

クラウドECによるECサイト構築のデメリット

パッケージと同程度の開発期間とコストがかかり、自社でサーバーを持つオンプレミスが条件となる企業は導入できません。また、プログラムコードは開示されないため、自社でソースコードを変更したい、把握したい企業には不向きでしょう。

独自性を出せるフルスクラッチ

スクラッチとは、ソフトウェアやシステムをゼロから作り出す開発手法です。他のシステムからの流用を一切行わないスクラッチ開発を「フルスクラッチ」と呼んで区別することがあります。

フルスクラッチによるECサイト構築のメリット

自社の業態に合わせた最適なシステムを、一から構築・運用することができる点がフルスクラッチ最大のメリットです。自社が求める様々な要件、例えば基幹システムとの連携性やセキュリティの強化、独自性の高い業務への対応などに対して最適なシステム構築が可能となります。

フルスクラッチによるECサイト構築のデメリット

この方法の最大の難点は、初期導入費用の高さです。新しく独自に専用システムを構築する場合、費用は数千万円単位になることもあり、開発期間も半年から数年かかるケースもあります。システム開発が終わるまでは、発注者側も、業者との様々なやり取りを要し、相応の負担が必要です。こちらも、定期的なシステムのリニューアルが必要な点に注意しましょう。

ECサイト構築方法の選び方や注意点

ECサイトの構築方法によるそれぞれのメリット・デメリットについて解説してきましたが、構築方法を選定する際のポイントや注意点について見ていきましょう。

構築方法の選び方

ECサイトの構築方法を選ぶにあたって、いくつかのポイントがあります。ビジネス規模を基準に、年商一億円未満はASPやオープンソース、それ以上はパッケージやクラウドEC、フルスクラッチを選択する、ECサイトを始める目的にあわせて選ぶ方法などがあるでしょう。目的別の選定基準を簡単に解説します。

■低コストでとにかく早くECサイトを構築したい
⇒ASP

■費用を抑えながらオリジナルのECサイトが欲しい
⇒ASP、オープンソース

■独自のデザインやコンテンツを充実させたECサイトを構築したい
⇒オープンソース、パッケージ、クラウドEC

■自社の事業に合わせた本格的なシステムを保有するECサイトを構築したい
⇒オープンソース、パッケージ、クラウドEC、フルスクラッチ

さらには、自社システムとの連携性や自社の開発能力、各構築方法のメリット・デメリットを踏まえ、総合的に判断する必要があります。また、実際にトライアルにチャレンジしてみたり、何社かに見積もりや問合せなどをして比較することも大切です。

構築方法を選ぶ際の注意点

構築方法を選ぶ前に、自社がECサイトに求める要件と自社が持つ技術力の確認が必要です。また、システムの定期的なリニューアルや業務の変化などへの対応をどの様に行っていくかなど今後の予測を立てる必要があります。EC業界は、日々環境が変化し続けるため、その変化に対応できる方法も考えておきましょう。

ECサイトを構築して販路を広げよう!

ECサイトには様々な構築方法が存在し、それぞれにメリットとデメリットがあります。そのため、自社のビジネス規模や事業計画、業務を取り巻く環境にあわせた適切な構築方法の選択が必要です。

ECサイトの開設には、構築方法の選定に始まり、商品やコンテンツの充実、顧客対応、システムの維持向上など様々なコストと手間がかかりますが、販路拡大を可能にするECサイトのオープンは企業にとっても重要な課題といえます。

今後も大きな広がりをみせるEC市場で良いスタートをきるため、自社に適した構築方法を選び、顧客を満足させるECサイトをオープンしましょう。