【アルコールチェック義務化】対象企業は?具体的に何をしたら良い?

2024年1月29日
【アルコールチェック義務化】対象企業は?具体的に何をしたら良い?

アルコールチェックの義務化とは、2022年4月の道路交通法改正に基づき、事業者が雇用する運転者に対して、運転前後や運転中、運転後の適切なタイミングでアルコールチェックを行うことを義務付ける制度です。
今回は、アルコールチェック義務化の対象や、具体的な運用内容について詳しく解説します。

アルコールチェックの義務化とは?

2022年3月までは、運送業や旅客運送業などの緑ナンバー事業者が対象でしたが、2022年4月以降は一般的な自家用車である白ナンバーの車を規定の台数以上使用する事業者も、アルコールチェック義務化の対象となりました。

対象者は?

アルコールチェック義務化の対象になるのは、次のいずれかの条件を満たす事業所です。

・白ナンバーの自動車を5台以上所有

※自動二輪車(50cc以下の原付は除く)は1台を0.5台として計算する。

・乗員定員11人以上の白ナンバーの自動車を1台以上所有

2022年4月から義務化されているアルコールチェック業務

・運転前後で、運転者の酒気帯びを目視等で確認する

・運転中に、運転者の酒気帯びの有無を適切に確認する

2023年12月から義務化されているアルコールチェック業務

2023年12月1日からは、以下の3点が追加で義務化されました。

・運転後に、運転者の酒気帯びの有無を適切に確認する

・アルコール検知器による酒気帯び確認を行う

・アルコールチェックの記録を保存する

運転の前だけでなく、運転後にも酒気を帯びていないかを確認する点に注意しなければなりません。また、アルコール検知器は営業所ごとに常備し、遠隔地での業務の際は運転者に携帯型のアルコール検知器を携行させる必要があります。

アルコールチェック方法

アルコールチェックは原則として対面で行わなければなりません。

対面確認が難しい場合は、カメラ等でアルコール検知器の測定結果を確認するといった、対面確認と同等とみなすことのできる方法でチェックを行う必要があります。

アルコール検知器による酒気帯び確認は、以下の2つの方法で行われます。

どちらの方法も、アルコール濃度が0.15mg/L以上の場合、酒気帯び状態と判断されます。アルコールチェックに指定された機器はなく、呼気中のアルコールを正しく検知し、その有無・濃度を音や光、数値などで示すことができれば問題ありません。

吹き込み式

吹き込み式は、運転者が検知器のノズルに息を吹き込み、アルコール濃度を測定する方法です。周囲の空気の影響を受ける可能性があるため、少し精度が落ちる場合があります。

呼気採取式

呼気採取式は、運転者が検知器のノズルに息を吹き込むのではなく、呼気を採取する装置でアルコール濃度を測定する方法です。

アルコールチェックの記録・保存方法

アルコールチェックの記録は、飲酒運転の防止に重要な役割を果たします。

事業者は、記録の作成、保存、管理、報告を適切に行うことで、飲酒運転による交通事故の防止に努めましょう。

記録方法

アルコールチェックの記録に関して媒体や書類形式に指定はありません。アルコールチェックを実施した際には、以下の8項目を記載する必要があります。

・確認者の氏名(安全運転管理者)

・運転者の氏名

・運転者が業務に使用した自動車登録番号、又は自動車を識別できる記号・番号等

・確認の日時

・確認の方法

 アルコール検知器仕様の有無

 対面による確認でない場合の確認方法

・酒気帯びの有無

・指示事項

・その他必要な事項

記録への対応

アルコールチェックの記録で、アルコール濃度が0.15mg/L以上の場合は、酒気帯び状態と判断されます。酒気帯び状態の運転者については、以下のような対応が必要です。

・運転をさせないこと

・運転者本人に、飲酒運転の危険性や処罰内容を説明すること

・必要に応じて、警察に通報すること

記録の保存

記録は、1年間保存する必要があります。保存場所は、事業者の事業所内またはクラウドストレージなどの安全な場所に保管します。

管理

記録は、安全運転管理者が管理します。記録の管理には、以下の点に注意が必要です。

・記録が改ざんされていないかを確認する

・記録が紛失しないように管理する

・記録を適切に保管する

報告

アルコールチェックの実施状況や記録の保存状況は、国土交通省に報告する必要があります。報告は、インターネットの専用フォームから行うことができます。

安全運転管理者とは?

アルコールチェック義務化に伴い、事業所ごとに安全運転管理者を1名選任する義務があります。

安全運転管理者とは、運転者の酒気帯び確認や運行計画の作成、安全運転の指導など事業所の安全運転を確保する責任者です。

安全運転管理者は、具体的に次のような業務を行います。

・安全運転の指示

・運転者の状況把握

・運転者に対する指導

・運行計画の作成

・交代要員の配置

・異常気象時等の安全確保の措置

・アルコール検知器を用いての運転前後の酒気帯び確認

・アルコールチェックの1年間の記録保存

・アルコール検知器を常時有効に保持

・運転日誌の記録

アルコールチェックの管理に伴う課題

業務負担

記録は、アルコール検知器の記録用紙、専用のアプリ、またはエクセルなどの表計算ソフトを使用して作成することができます。しかしながら、アナログな管理方法では、報告するドライバーと報告をまとめる管理者の負担が大きく、チェックの形骸化の要因となります。

アルコールチェックのデータ管理の効率化

紙での保存はデータの改ざんも容易な状況となり、欲しい情報もすぐ取り出せないため、手間をかけずに確実に記録・保存できる方法を検討することが重要です。

アルコール検知器と専用のアプリを連携

アルコール検知器と専用のアプリを連携させると、記録の作成や保存が自動化されます。アプリは測定結果を自動送信できるため、書き間違いや紛失などのヒューマンエラーが起きることはありません。

また、場所を問わずアルコールチェックや報告が可能になるため、チェック忘れの防止にもつながります。

また、異常を検出した場合は安全運転管理者に通知されるため、飲酒運転を防止できます。

クラウド型のアルコールチェック管理システムを導入

クラウド型のアルコールチェック管理システムを導入すると、記録の管理や報告が容易になります。データの紛失リスクがなく長期間保存できるのもメリットの1つです。さらに、結果をまとめてダウンロードできるため、万が一監査があった場合でも、ダウンロードしたデータを提出できます。

アウトソーシングで、アルコールチェック義務化に対応!

アルコールチェックを確実に行うためには、組織全体で協力し、管理体制を構築することが重要です。記録や管理にかかる業務負担を削減するために、アウトソーシングを活用するのも検討の一つです。ぜひ、弊社にお気軽にご相談ください。