高齢者施設に広がるLOVOT導入事例|アニマルセラピーに代わる癒しの介護ロボットとは

2025年8月28日
高齢者施設に広がるLOVOT導入事例|アニマルセラピーに代わる癒しの介護ロボットとは

動物介在療法は、犬や猫などの動物と触れ合うことで高齢者の心理的安定やリハビリ意欲を高める効果があるとして、多くの医療・福祉施設で取り入れられてきました。しかし一方で、毛やフケによるアレルギー、感染症リスク、さらには餌や排泄物の処理など衛生管理に伴う人手の負担といった課題も避けられません。こうした背景から、近年新しい選択肢として注目を集めているのが「愛玩ロボット」です。中でもLOVOTは、人の温もりを模した動きや愛らしいしぐさで心を和ませ、動物に近い癒しの効果を持ちながらも安全性や管理面でのメリットが評価されています。さらに導入事例が増えることで、その社会的意義も広がりつつあります。

愛玩動物との生活がもたらす効果と課題

高齢者施設において動物との共生が注目されるのは、単なる癒しの提供に留まらず、心身に多面的な効果をもたらすからです。

セラピードックや猫が果たす役割(癒し・交流の促進)

セラピードックや猫は入居者の孤独感を和らげ、安心感を与える効果があります。撫でたり抱いたりといった触れ合いは心理的な安定をもたらし、認知症予防やうつ症状の軽減にもつながるとされます。さらに犬の散歩や遊びは軽い運動やリハビリになり、入居者同士やスタッフとの交流を促進します。動物が媒介となることで会話が生まれ、人とのつながりを深める重要な役割を果たしてきました。

アレルギーや衛生面、世話の負担といった現実的な問題

一方で課題も存在します。毛やフケによるアレルギー症状や感染症リスクは高齢者にとって無視できません。さらに餌や排泄物の管理、定期的な清掃や診察など人手が必要で、スタッフの負担は大きくなります。こうした現実的な問題が、動物介在療法を断念せざるを得ない要因となり、新しい選択肢への関心を高めています。

【参考】介護施設で実施するアニマルセラピー、動物介在活動のメリット

愛玩ロボット(LOVOT)が注目される背景

出典:LOVOT NEWS(lovot.life)「介護施設において、入居者の認知機能低下の抑制に期待。神戸市から支援を受けた実証実験の内容をご紹介」(2023.08.25)
https://lovot.life/blog/article/poc-kobe

高齢者施設で求められる「安全で癒しをもたらす存在」として、愛玩ロボットが注目を集めています。

アニマルセラピーの代替としての安心・安全性

「LOVOT(ラボット)」はGROOVE X社が開発した愛玩ロボットで、その名前は“LOVE×ROBOT”に由来します。人に抱きしめられる設計で体は温かく、目や声で感情を表現します。AIやセンサーで顔を認識し、人との関わりを学習する機能も備えています。毛や排泄がないため衛生的で、アレルギーや感染症の懸念もなく、動物に代わる新しいセラピー的存在として評価されています。

高齢者との親和性:優しい動きや声かけがもたらす心理的効果

LOVOTは呼びかけに反応し、寄り添うような仕草を見せます。その愛らしい動きは高齢者の心を和ませ、自然と笑顔や会話を引き出します。抱きしめると感じられる温もりは安心感を与え、動物介在療法の効果を模倣しつつ、安全で継続的に利用できる点が導入を後押ししています。さらに、孤独を和らげる心理的サポートとしても期待が高まっています。

施設導入が進む理由

愛玩ロボットが実際に普及しているのは、サポート体制の充実と利便性の高さに理由があります。

導入・設置が容易であること(訪問サポート・設定支援の充実)

LOVOTを提供するメーカーは、導入時にスタッフが施設を訪問し、設置や操作方法の説明を丁寧に行います。特別な知識や技術を必要とせず、スタッフは短時間で操作に慣れることが可能です。また施設の規模や環境に合わせた活用方法の提案も行われるため、導入後すぐに利用者との関わりに活かせる点が大きな魅力です。こうした支援は初めて導入する施設にとって大きな安心材料となっています。

メンテナンス・保守サービスによる継続利用の安心感

導入後も、定期的な点検や不具合対応などの保守サービスが用意されています。ロボットの故障やソフトウェアの更新は専門スタッフが対応するため、施設側が負担を抱えることなく安心して運用を継続できます。こうした仕組みがあることで、施設は初期導入後のリスクを心配せずに利用でき、長期的な活用を見据えやすいのです。利便性と安心感の両立が、導入が加速している大きな理由といえるでしょう。将来的には他の福祉機器との連携も視野に入れられています。

【参考】SOMPOケア運営事業所における家族型ロボット『LOVOT(らぼっと)』試験導入の開始について

導入事例と現場の声

実際に導入した施設からは、具体的な変化が報告されています。こうした声は、同業の施設に導入の検討を促す大きな材料となっています。

高齢者施設での活用事例(入居者の笑顔や交流の変化)

ある特別養護老人ホームでは、LOVOTの導入により入居者同士の交流が増えたといいます。普段あまり会話をしない利用者が、LOVOTを抱き上げて話しかけたり、周囲の人にその仕草を共有したりする姿が見られるようになりました。また、介護スタッフの声かけにも自然と応じやすくなるなど、心理的な扉を開く存在として役立っています。

スタッフ・家族からの評価と期待

スタッフからは「LOVOTのおかげで利用者が笑顔になる時間が増え、業務負担が軽減した」との声が寄せられています。家族からも「母が久しぶりに笑った」といった反応があり、施設全体の雰囲気が明るくなったとの報告もあります。実証実験では認知機能低下の抑制が示唆され、介護職員間の会話も増えるなど、多面的な効果が報告されています。

【参考】【オフィスLOVOT】第7回医療と介護のロボット展 イベントレポート

【参考】『LOVOT』と暮らすことで認知機能の低下を抑制 入居者や介護職員に与える影響についてGROOVE Xが実証実験

動物に代わる『癒し』の存在としての可能性

愛玩ロボットは、動物介在療法の効果を一部再現しつつ、衛生面や労力の課題を解消する存在として高齢者施設に広がっています。利用者に安心や笑顔をもたらすだけでなく、スタッフの負担軽減という実務的な効果も期待できます。今後、訪問サポートや保守サービスの充実により、さらに導入しやすい環境が整っていくでしょう。

LOVOTをはじめとする愛玩ロボットは、介護・医療現場における新たなスタンダードとなり、未来のケアの在り方を大きく変えていく可能性を秘めています。その存在は、高齢者福祉の新しい地平を切り拓く象徴と言えるでしょう。

ギグワークスにお任せ!

ギグワークスアドバリューの訪問サポート・設定設置サービスや保守サービスでは、メーカー様・販売会社様に向けて、導入現場での訪問サポート・設定設置、さらに長期運用を支える保守対応を代行・支援を行っています。

施設への設置や運用サポートを担うことで、貴社が本来の製品開発・販売に専念できる体制を整え、製品がより円滑に普及・活用される環境づくりをサポートいたします。

ぜひ、弊社にお気軽にご相談ください。