「2025年問題」における事業承継の課題と対策方法は?

2023年9月27日
<strong>「2025年問題」における事業承継の課題と対策方法は?</strong>

「2025年問題」とは、西暦2025年以降に団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、超高齢社会を迎えることで生じるさまざまな問題のことです。社会保障費の増大や医療・介護資源の不足、現役世代の負担増や雇用の問題などがあります。事業承継においても、経営者の高齢化や後継者不在による廃業が問題となっています。「2025年問題」が事業承継に与える影響や、すでに起こっている問題を紹介し、今後の課題や対策方法を紹介します。

2025年問題が事業承継に与える影響

それでは、2025年問題は事業承継にどのような影響を与えるのでしょうか。中小企業庁が作成した資料「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、2025年問題は事業承継に以下のような影響を与えると想定されています。

・経営者の高齢化と後継者不在による廃業

・約22兆円と予想されるGDPの損失

・約650万人に上る雇用喪失

経営者が高齢化することで、後継者不在が深刻な問題となります。中小企業庁の資料によれば、2025年までに約245万人の中小企業・小規模事業者の経営者が70歳に達すると予想されています。これらの企業が廃業することで、GDPへの影響は約22兆円に達し、雇用喪失は約650万人に上ると予想されています。

後継者不在で廃業に追い込まれた中小企業の事例

近年では後継者不在で廃業に追い込まれる中小企業が増えています。例えば、2018年、東京都墨田区にあった岡野工業が廃業しました。原因は後継者の不在です。経営者の岡野社長は廃業当時85歳の高齢で2人のご息女がいましたが、2人とも会社を継ぐ意思はなく後継者を確保できませんでした。

岡野工業は中小企業庁の「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれるほどの技術力を持つ中小企業でした。しかし、経営者の高齢化と後継者不在により廃業を余儀なくされました。

経営者が高齢化する中で、後継者の育成が急務となりますが、地方における人材の流出や都市部での就業の魅力に比べて、後継者を確保することが難しい現状があります。

その結果、長年地域に根付いた企業が廃業に追い込まれ、地域経済に大きな打撃を与えるケースも見受けられます。

国が打ち出した3つの対策

2025年の高齢化率は30パーセント以上、2040年には35パーセント以上になると推計されており、このまま放置すれば、日本は経済だけでなく、国力の衰退を招きかねません。そのため、政府もさまざまな対策を打ち出しています。

公費負担の見直し

これまでも3年に1度の介護保険法改正のたびに低所得者の負担軽減は考慮されてきましたが、2022年度からは、75歳以上であっても一定以上の収入がある場合は医療費の負担額を2割にするなど、貯蓄も少なく住居費・教育費などの他の支出の負担も大きい若い世代の負担を軽減し、公平化を図るための見直しが行われました。

医療・介護人材の確保

少子高齢化に加えて、重労働、低賃金などの理由から、慢性的に人材が不足している介護業界。2025年には約38万人もの人材不足が予測されており、人材確保は急務と言えます。

介護人材の離職理由には、「結婚・出産・育児」「労働環境、雇用管理のあり方」「将来の見通しが立たない」「心身の不調、腰痛等」の4点が上位に挙げられます。

そこで、基本的な賃金アップをはじめ、子育てをしながら働き続けることができる環境整備、人材育成、キャリアアップ制度の整備や助成金・補助金の拡充、介護ロボットやICT技術の導入により、身体的負担軽減や事務負担の軽減などの方策が進められています。

また、介護職への理解、関心を高める対策として、さまざまなメディアで仕事の魅力(「楽しさ」「深さ」「広さ」)の情報を発信するなど、イメージアップにも積極的に取り組んでいます。

地域包括ケアシステムの構築

政府は、重度の介護が必要になっても、病院などの施設ではなく、住み慣れた地域で人生の最後まで自分らしい生活ができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体となって提供される「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。

各市町村では 2025年に向けて、3年ごとの介護保険事業計画の策定・実施を通じ、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じた地域包括ケアシステムを構築しています。

高齢経営者がやるべき事業承継対策は?

2025年問題の影響による廃業増を抑えるためには、経営者が高齢化した企業での円滑な事業承継が求められています。具体的な対策としては、

・早めに事業承継に着手する

・国の支援策を積極的に活用する

・M&Aによる事業承継を検討する

・専門家に相談する

が挙げられます。

事業承継には、後継者探しや自社株購入の資金対策、承継手法の選択などさまざまな課題があるため、早めの着手が大切です。また、国は目前に迫る2025年問題の影響を考慮し、事業承継に関する多くの支援策を実施しています。これらの支援策を積極的に活用することで、事業承継でわからない部分の相談や事業承継にかかる資金負担の軽減などが見込めます。

注目すべきは人材育成による事業継続

2025年問題を乗り越えるための最も重要な対策は、人員育成による事業の継続です。経営者自身が後継者を見つけ、育てることで、企業の経営理念やノウハウが継承され、地域経済に貢献することができます。

また、後継者が持つ新たな視点やアイディアによって、企業の成長や新規事業の展開が可能になるでしょう。後継者育成のためには、経営者自らが教育や指導に携わることが欠かせません。さらに、地域や産業界全体で後継者育成を支援する制度やプログラムの充実も必要です。

人員育成による事業継続につなげる対策として、以下のようなものがあります。

従業員のキャリアアップ支援

従業員がスキルアップすることで、将来的に経営者として活躍できる可能性があります。企業は、従業員のキャリアアップを支援するための研修や教育制度を整備し、従業員がスキルアップできる環境を整えることが重要です。

経営者の後継者育成

経営者は、後継者となる人材を早期に見つけ出し、育成することが重要です。後継者には、経営理念やノウハウ、人脈などを引き継ぐための育成期間が必要です。企業は、後継者育成プログラムを整備し、後継者が円滑に経営を引き継ぐようサポートすることが重要です。

従業員の定着率向上

従業員が長期的に働くことで、企業内での人材育成が進みます。企業は、従業員の定着率を向上させるための取り組みを行うことが重要です。例えば、福利厚生制度の充実やキャリアアップ支援などが挙げられます。

以上が、人材育成による事業継続につなげる対策です。

人材育成には、莫大なコストや時間がかかってしまいます。人員育成の部分をアウトソーシングして効率よく事業継承していくことが、企業存続のカギとなるでしょう。

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