今おさえておきたい「DX」を徹底解説!

2020年12月25日
今おさえておきたい「DX」を徹底解説!

政府による「デジタル庁」の創設や、コロナウィルス感染拡大によるテレワークの普及などの影響もあり、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」というキーワードがにわかに注目を浴びるようになりました。ここでは「DX」の定義から今注目を浴びる理由、企業がDXを実現していくための課題などを解説していきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

「DX」とはただ製品をデジタル化するだけではなく、デジタルを使って既存の価値観や枠組みを根底から覆し、ビジネスモデルに変革を起こすこと、一企業の取り組みを超えて文化や社会にまで影響を与えることを意味します。

「Digital Transformation」を直訳すると「デジタル変換」となりますが、“変換”よりも“変革”という翻訳の方がふさわしいでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の誕生

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念で、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のストルターマン教授によって提唱されました。DXはもともと社会生活全般に関わる概念でしたが、日本では主にビジネス用語として使用されることが多いでしょう。

日本での取り組み

日本では2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を発表し、広くビジネス界隈に知れ渡ることとなりました。この中でDXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と表現されています。

【出典】「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン_経済産業省」

なぜDXが注目されるのか?

2018年にマイクロソフトとIDCがアジア15カ国・地域のビジネス意思決定者を対象として行ったDXに関する調査では、2021年までにDXは日本のGDPを約11兆円増加させるだろうと推測されています。また今年の新内閣による「デジタル庁」創設に向けた動き、そして新型コロナウィルスの影響により、DXはさらに注目を浴びることとなりました。

【参考】「アジアにおけるデジタルトランスフォーメーションの経済効果調査」

「デジタル庁」の創設

2020年9月、新内閣はデジタル改革に関する関係閣僚会議を開き、デジタル庁の創設に向けた基本方針を年内にまとめるよう指示しました。以前から政府内でも日本におけるDX推進の必要性は意識されていましたが、諸外国の政府や自治体が次々とDXを進め、新たなサービスを国民に提供しつつ生産性を高める事例が注目されたことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワーク推進の動きが、政府のDXへの意識を後押ししたと言えるでしょう。

新型コロナウイルスの影響

株式会社ネオマーケティングでは、2020年9月、「DXの取り組み」をテーマにしたインターネットリサーチを実施しました。

勤務先で新型コロナウイルスの影響によるデジタル化が進んだか?という質問に対し、「強化された」と答えたのが3割以上となりました。また勤務先のDXの取り組みについて6割以上が「うまくいっている」と回答しました。多くの企業がテレワーク・リモートワークを導入し、テレワーク環境を整えるためにデジタル化が進んだと言えます。

【参考】「株式会社ネオマーケティング『DXの取り組みに関する調査』」

世の中に変革を起こしたDXの実例

世界中で新たなデジタル技術を利用したこれまでにないビジネスモデルがどんどん生まれてきています。DXで成功している企業は、「行動」「知識・経験」「モノ」のいずれか、あるいはこのうちのいくつかをデジタル化し、変革を実現している例が多いようです。有名な成功例を見ていきましょう。

世界中に変革を起こしたAmazon

ネット上の書店としてスタートしたAmazonですが、独自のシステムで「あなたにおすすめの本」や、「これを購入した人はこれも購入しています」という「レコメンド機能」を実装したことで、自分に合った商品を見つけやすくなりました。これまでは店員の「知識」や「経験」から生み出されてきたことをデジタルに置き換えたのです。

その他にもAmazonは、ユーザーの購入履歴を分析し、注文があればすぐ配達できるよう近くに在庫を用意しておくシステムや、本を持ち歩くことなくどこにいても、何冊でも好きな本が読める「Kindle」など、今も次々とDXを成功させ、人々の暮らしに変革を起こし続けています。

アパレル市場の常識を覆したZOZO

アパレル市場において、ECサイトは試着ができない点がデメリットのひとつです。しかしZOZOは送料もリーズナブルなうえ気軽に返品でき、「とりあえず取り寄せて、ダメなら返品する」という新しいECサイトのスタイルを確立させました。また自身の身長と体重を入力すると、自分にあったサイズをおすすめしてくれる「マルチサイズプラットフォーム(MSP)」というサービスも実施しています。このようにしてZOZOはDXにより「デパートで買い物をし、商品を自分で持ち帰る」という行動を「サイト上で買い物をして、商品を自宅まで配送してもらう」というサービスに置き換えて成功をおさめたと言えるでしょう。

DXを実現するためには

DXが強く求められる一方、国内では既存するITシステムの老朽化やメンテナンスなどの課題に追われ、DX化を推進するためのコストや人材を確保できないという問題に直面しています。

経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」では、DXが進まないと業務効率の悪化が避けられなくなり、2025年以降、日本全体で毎年最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしました。

近年、クラウドやIoTなどのデジタル技術は急速に進化しており、自社ですべてを持たず比較的安価にシステムが構築できる環境になっています。「DX」を実現するためにはこれらの技術を積極的に活用し、まずは基幹・業務システムのDXを進め効率化を図っていった上で、新たなデジタル技術を導入したビジネスモデル変革の実現を目指すと良いでしょう。

【参考】「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~経済産業省」

DXの波に乗り遅れるな

日本のDX化は世界的にも遅れをとっていると指摘されています。既存のITシステムの維持に高いコストをかけ続けるのではなく、より安価に大量のデータを管理できるクラウドシステムの導入や、これからも増えるであろうテレワークの環境構築を検討するなど、DXについての理解を深めつつ自社のDX化から進め、ビジネスモデル変革の実現を目指しましょう。