【対談講演】テレワーク導入のメリットと課題!今後のテレワークの展望は?
新型コロナ感染拡大が進む中、改めて注目されている働き方がテレワークです。
しかし、BCP対策の一つとして注目されメリットも多いテレワークですが、実際の導入や運用には数多くの課題があります。
今年で開催21回目を迎えるコールセンター&カスタマーサポート業界の一大イベントである「コールセンターデモ&コンファレンス2020」にて、コールセンター運営のプロであるギグワークスアドバリュー取締役 高田 秀行とテレワーク運営のスペシャリストMamasan&Company代表取締役田中茂樹の2名で対談講演を行わせていただきました。
対談講演の様子を皆様にお伝えするとともに、テレワーク導入のメリットや効果的に運用するためのポイントなどについて伺います。
ギグワークスとMamasan&Companyの役割とは
テレワーク導入が求められる中、テレワークツールの整備や開発、アウトソーシングが改めて注目を集めるようになりました。そうした情勢の中で、テレワーク運用の先駆者としてのギグワークスとMamasan&Companyの果たす役割について紹介します。
労働市場に革命を起こす「ギグワークス」
ギグワークスは「短期・単発の仕事を請負形式で受発注する働き方の仕組み」を意味する「ギグワークス」という働き方を応援するIT支援サービス事業から始まりました。
労働人口の減少や働き方の多様化、IT技術の躍進という時代背景を受け、「日本一のGig Economyのプラットフォーマーになり労働市場に革命を起こす!」という経営理念のもと、インターネット上でクライアントとワーカーを適切に結び付ける役割を担い続けています。
こうした柔軟な働き方をサポートするためギグワークスは様々な事業展開を行っています。
アウトソーシング事業を主とする「ギグワークスアドバリュー株式会社」、コンタクトセンター系のアプリケーションや一般ソフトウェアの開発・販売を行う「ギグワークスクロスアイティ株式会社」、首都圏を中心としたレンタルオフィスやコワーキングスペースの提供を行う「アセットデザイン株式会社」、福利厚生や障がい者雇用のサポートに特化した「ギグワークスアドバンス株式会社」などです。
ギグワークスは、テレワーク導入に必要なアウトソーサーとしての知識と経験、テレワークツールの開発、テレワーカーの働き場所を提供するレンタルオフィスやコワーキングスペースなど、テレワークを支援する様々なサービスをグループで展開しています。
総合的な支援が可能なギグワークスは、テレワーク導入支援のための大きな一助となることでしょう。
独自の運用体制と経験を持つ「Mamasan&Company」
Mamasan&Companyの主要事業であるBPOサービスは、コールセンター業務を始め、バックオフィス業務である、経理、給与計算、受発注業務など様々な業務を請け負っており、その業務の多くをテレワークというスタイルで運用しています。
約500名のテレワーカーを有し、そのほとんどのスタッフが時短で業務委託の在宅勤務で働いてます。運用が円滑に進むよう取り入れられたMamasan&Companyの特徴が、5人組とも呼ぶ相互扶助の小さなチームと、リーダーを軸に動く業務案件ごとのチームの2つのチーム体制です。この独自の運用体制と長年にわたるテレワーク運用の知識や経験をもつMamasan&Companyは、これからテレワーク導入が求められる企業担当者のためのテレワーク運用の先駆者として良いアドバイザーとなりえます。
ギグワークス×Mamasan&Company
コールセンター業務やギグワーカーを集めるのに特化した「ギグワークス」と、テレワーク運用に特化した「Mamasan&Company」のサービスを連携させることで、より驚きや感動を与える仕事を行うことが可能となりました。
今後のテレワークの可能性を探るとともに、互いに課題を解決するパートナーとして企業の強い味方となるでしょう。
コロナ過でテレワークを取り巻く環境はどう変わったか
コロナの流行によって、世界の社会情勢が一変しましたが、事業運営で特に大きく変化を感じたことについてお聞かせください。
【 高田 】
セミナーにお集まりいただいた皆様もコールセンターやコンタクトセンターの運用に関わりを持たれている方も多く、この情勢の中で同じ課題を抱えているのではないでしょうか。
このコロナ感染拡大の影響で感じる、大きく変わったリスクは二つあります。
まず一つ目は、「自社の従業員の感染リスク」です。感染拡大を抑制するため、いかに予防・対策に務めるかが重要になってきますが、基本的にコールセンターは一つの部屋に多くのスタッフが集まる三密環境です。さらに、主な感染経路が飛沫感染だと言われている中、しゃべることが仕事であるコール業務を行う空間には、多くの飛沫が飛んでしまうでしょう。
実際に、弊社が運営する大阪センターでも、3月に感染者が出まして、センターは一時封鎖、営業はストップいたしました。まだ、あまりクラスターとしての事例がない時期でしたので、保健所から消毒に見えたり、濃厚接触者を隔離したり、業務を他拠点に振り替えたり、関係者はその後の対応に追われました。
このような「クラスター発生による業務停止のリスク」、これが二つ目のリスクとなります。今までは、地震などのBCP対策として、ロケーションを分散させることで対応してきました。しかし、このコロナの流行は日本全国、また世界中で広がりを見せているため、ロケーションの分散はBCP対策としての有効性が失われつつあります。
【 田中 】
そうした中で、BCP対策の一つとして「テレワーク」という働き方が改めて注目されているわけです。自身が感じることとしては、今現在、テレワークの導入状況は二極化していると言えます。テレワーク化できる会社とできない会社です。
もちろん業種によってはテレワークが難しい会社もあるでしょう。しかし、同じような業種でも、テレワークがうまく行く会社とそうでない会社がはっきりと分かれてきているのです。
この主な要因は「コミュニケーションの質」によるものだと考えられますが、こちらの詳しい話は、後ほどのテレワークのポイントでお話しましょう。
今後のテレワークの位置づけ
全国的な流行の影響を強く受け、多くの企業が変化を求められ、テレワーク化を余儀なくされています。今後のテレワークはどの様な役割を果たしていくと考えられますか。
【 高田 】
先ほどの話と重複する部分もありますが、テレワークは「感染拡大リスクの軽減」、「BCP対策の一環」としての役割を持つようになります。
コールセンターの全業務をテレワークで行う必要はありませんし、実際には難しいと感じています。しかし、センター運営とテレワーカーを併用することで、センター閉鎖時などの有事に対するリスク分散が可能になるため、多くのコールセンターでテレワークへの比重が高まっていくでしょう。
【 田中 】
現在のテレワーク導入は、コロナの流行による緊急措置的な意味合いが非常に強いです。高田さんもおっしゃられているように、皆さんはテレワークに感染拡大リスクの軽減やBCP対策の一環としての役割を求めています。
このご時世ですから、当社のほうにテレワーク導入に対するサポートのお話をいただくことも増えていますが、単に導入することそのものが目的でしたらテレワークをするメリットはないでしょう。
今後もテレワーク継続を考えるのなら、生産性を高めるようなテレワークの運用を模索していって欲しいですし、テレワークをもっとポジティブに「経営戦略の一つ」としてとらえていただきたいですね。
テレワークを導入するメリット
テレワークを導入するメリットには、コロナの感染拡大防止の他にどの様なメリットがありますか。具体的なメリットについてお聞かせください。
【 高田 】
今後仮に、ワクチン開発が進みコロナ感染拡大が収束したとしても、また再び全員がコールセンターに戻って業務にあたることにはならないでしょう。今更元に戻るのも面白くないという感じもありますが、テレワークをうまく導入すればそれに見合うメリットがあると、皆さんが気づいたからです。
先ほども少し話に出ましたが、テレワークの導入は「経営戦略」の幅を広げることができるというメリットがあります。
テレワークを導入している企業に対して、多くの人が肯定的なイメージを持つようになり「企業のイメージアップ」という面でも、テレワーク体制を維持するメリットがあります。
テレワークを導入しているだけで、素晴らしい企業だと思ってくれるんです。
もう一つメリットを挙げさせていただくなら「固定費の変動費化」です。
コールセンターはコストセンターとも呼ばれ、維持していくだけで膨大なオフィスコストがかかってきます。これに加え、オペレーターの雇用維持の問題もあり、業務量に合わせた人員の配置が難しいのが現状です。オペレーターの皆さんに1、2時間のためだけに出勤していただくわけにもいかないですし、極端な稼働日の削減もできないですからね。
テレワークを活用することで、こうした業務の増減に合わせた柔軟なシフトが組めるようになります。また、単価制にすることで、積極的に業務を行う人には個人の生産性に見合った報酬をお渡しすることができますし、雇用側としても効率的にコストをかけられるようになるでしょう。コールセンターの規模を縮小し、テレワークへの比重を増やすという経営判断もできるようになります。
【 田中 】
あと、メリットとしてはテレワーク導入に伴う「業務効率化」も見逃せません。こちらは、後のテレワークを運営するためのポイントで詳しくお話していきます。
テレワーク導入メリットのまとめ
・企業のイメージアップ
・固定費の変動費化
・オフィスコストの削減
・導入による業務効率化
テレワークを円滑に運用するためのポイント
テレワークを導入し運用を続けていくと、コミュニケーションや業務の情報共有など様々な課題や問題が出てきます。このような課題を解決していくためのポイントを教えてください。
【 田中 】
実際にテレワークを運用していく中で、一番問題となったのが「コミュニケーション」です。私たちの会社は、ほとんどのスタッフが時短・在宅勤務のため、時間のすれ違い、コミュニケーションのすれ違い、多くのすれ違いが起こり、創業したばかりのときは業務がままならないこともありました。熟練者が生まれる一方、業務の属人化やブラックボックス化が起こり、情報の共有が難しかったりなど、様々な問題も起こります。
仕事をしていくための業務の流れを知ることは、チャットや電話だけのコミュニケーションでは非常に難しいことです。特に、テレワークではベテランさんの仕事を傍で見ることもできません。
そこで、重要になってくるのがフローチャート図、マニュアルの作成となってきます。文字や言葉によるコミュニケーションだけでは伝えづらい業務の流れや作業手順を、誰が見ても一目でわかるように業務を可視化したんです。
元々は、テレワークという状況のハンディキャップを解消するための施策だったのですが、これが業務効率化にとても有効なこともわかりました。業務を見える化することで、今まで漫然と行っていた業務の無駄を洗い出しやすくなります。
オフィスで行っていた業務をそのままテレワークへ移行させると、基本的にパフォーマンスが下がります。テレワークを効果的に導入したいのなら、業務の可視化と効率化はぜひ合わせて行っていただきたいです。
【 高田 】
コール業務に関しては、コール中に入り込んでくる生活音の対策が課題でしたね。これが、コール業務のテレワーク化がなかなか浸透しなかった理由です。
しかし、今はコロナ流行の影響でユーザーの皆さんがテレワークに対して以前よりずっと理解や寛容を示しています。企業としては、HPのお問い合わせ電話番号や最初のガイダンスで「当社のコールセンターはテレワークで運用しています」というように、ユーザーの皆さんに周知しておくだけで充分な理解を得られるようになりました。これにより、今まで生活音に対する苦情は一件も出ておりません。
また、雇用という形にこだわるのではなく、業務委託に近い考え方をすると管理がしやすいでしょう。私たちのコール業務でいえば1コールいくら、ウーバーイーツなら1配送いくらといったような感じですね。こうすれば、それぞれのパフォーマンスにあわせた報酬をお渡しできます。まさに、短期・単発の仕事を請負形式で受発注する「ギグワークス」という働き方です。
【 田中 】
そうですね。時間と場所にとらわれない働き方ということで、従来の時間給や月給といった概念に当てはまらなくなってきます。実際にわが社のスタッフも大半は業務委託の契約です。
成果報酬型や業務委託を取り入れる際に、決めなければならない重要なことは、作業に対する単価になります。コール業務は1コールいくらと単価がつけやすいのですが、事務系の仕事はフローチャートにのっとって、最小の作業単位を取り出し、それぞれに原価計算を行うことが必要です。
これはわが社の特徴ですが、スタッフは自己責任で自身の報酬申請を行います。
案件ごとに、その案件の原価や利益率、顧客からいただく料金、作業量など、数値的なものを全て把握しているリーダーママと呼ばれるスタッフがおり、日々業務の流れや利益率をコントロールしています。その中で、おかしな動きがないかのチェックも当然行います。
それに加え、お互いが相手の立場を思いやり、コストに対するシビアな目線・業務に対する責任感を育てることが重要です。わが社では、リーダーの交代を繰り返すことで、業務の属人化を防ぐとともに、お互いに立場が変わりうることやお金の流れを含めた業務への理解や責任感を育成しています。
【 高田 】
育成という観点から、テレワーカーに対する研修をどのように行っていくべきかを悩まれている方も多いでしょう。
弊社のコールセンターでも、実際にコール業務に入っていただく前に、一か月ほどの研修を受けていただきます。その中で、業務委託で一日1時間ないし2時間の短い時間しか入らないオペレーターをどう扱うかが問題です。稼働数が少ないオペレーターに対し、フルで入るオペレーターと同等の教育が必要かということですね。
ここで、全てをテレワークにしようとするのではなく、テレワーカーとセンター勤務のオペレーターの業務をうまく分業することが大切になってきます。短時間しか入らない在宅勤務者には高いスキルが求められない一次対応のみを割り振り、フルタイムのセンターオペレーターにはスキルの必要な業務を回すと言った具合です。
テレワーク導入ポイントのまとめ
・業務の可視化(フローチャート、マニュアルの整備)
・ユーザーに対する周知
・成果報酬制の導入と作業単価策定の重要性
・雇用形態の見直し
・業務の難易度に合わせたセンターとテレワーカーの分業化
コールセンターとテレワークの展望
最後になりますが、これからのコールセンターやテレワークの行く末についてお聞かせください。
【 高田 】
テレワークは、BCP対策だけではなく、経営戦略の観点で多角的にとらえる必要があります。また、コストの変動費化や業務効率化だけでなく、グローバル視点、優秀な人材の確保という面でも、テレワークには大きなメリットがあるでしょう。
今は海外に住んでいらっしゃる日本人も多く、そういった方たちとグローバルに繋がることができる点、なにがしかの理由があって出社ができない「優秀な人材」の囲い込み、雇用の継続を可能にするという点もテレワークの魅力です。
いずれにせよ今後は、テレワークの導入を0か100か、センターかテレワークかで捉えるのではなく、柔軟な対応が取れる体制作りが必要です。弊社でも、働き手の状況変化や情勢に柔軟に対応できるようテレワーカー率を挙げつつ、センターはセンターで維持する方向で進めております。
もし、テレワーク導入についての悩みや相談がございましたら、弊社まで気軽にお声掛けください。ギグワークスには、テレワーク導入のシステム構築から運用までトータルにサポートするサービス体制が整っていますので、お客様の業務に寄り添いお手伝いさせていただくことが可能です。
【 田中 】
Mamasan&Counpanyでも、いつでも、ご相談をお受けさせていただいています。テレワーク運用の経験から皆様のお力になれることもあるため、ぜひ一緒にテレワーク運用についてディスカッションをしましょう!