保育園・幼稚園DXで業務はどう変わる?メリット・デメリットを解説

2024年7月12日
保育園・幼稚園DXで業務はどう変わる?メリット・デメリットを解説

待機児童問題や保育士不足、園児の事故といった課題を背景に、保育園や幼稚園でもDX化が進んでいます。限られた人数の保育士が多くの子どもを見守るには、人力だけでは限界があり、ITの力を効果的に活用することが必要です。

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、デジタル技術を使って人々の生活をより良い方向に変えることを意味します。保育業界のDXは、デジタル技術を活用して保育施設の業務負担を軽減し、保育の質を向上させる取り組みです。ICTは情報や通信に関する技術の総称であり、DXを推進するための手段の一つといえます。今回は、保育園・幼稚園のDXによって業務がどのように変わるかについて詳しく解説します。

保育業界でDXにより解決したい課題

ここでは、保育業界でDXにより解決したい課題として、以下の4つを解説します。

保育士不足

保育施設におけるスタッフの不足が課題となっており、特に保育園における人材不足は深刻です。保育士の仕事は以前から低賃金や休暇の取りづらさが問題視されており、働きやすい環境とは言えません。それに加えて、乳幼児の保育は常に生命にかかわる事故のリスクが伴い、保育士は重い責任を負っています。

アナログ文化が残る業務フロー

保育施設では、乳幼児の世話に加えて、保護者との連絡や書面作成、データ管理など、多くの業務があります。しかし、これらの業務の多くはデジタル化されておらず、アナログな方法が依然として主流です。多くの保育施設では、書類管理もアナログで行われており、紙の書類を物理ファイルに保管しています。結果として、書類のファイリングや必要書類の検索にかかる時間が手作業となり、これが積み重なると大きな負担となります。

膨大な残業時間

幼稚園教諭は基本的に1人でクラス担任を務め、教育カリキュラムのすべてを自分で企画・準備する必要があります。そのための業務負担は各教諭にのしかかります。さらに、書類作成や管理、職員会議など、幼稚園教諭がこなさなければならない業務は非常に多いです。一方、保育園では園児の保育時間が長く、その間は園児の対応が最優先です。大量の事務作業を保育時間中に行うことは現実的に不可能です。その結果、ほとんどの事務作業は保育時間終了後に回され、必然的に日々の残業時間が増えてしまいます。

保育の質

事務作業で多くの時間が取られると、子どもと向き合う時間や保護者とコミュニケーションをとる時間が少なくなってしまいます。事務作業をシステムで代替すれば、子どもや保護者と向き合う時間が増え、質の高い保育・家庭支援へとつながるでしょう。

保育業界でDXによる効率化が期待できる作業

解決したい課題をいくつか紹介しましたが、これらは、DX化により効率化が期待できます。安心安全を提供するものと、手間を減らす便利ツールの2種類に分けて説明します。

DX化で安心安全を提供

ITを駆使することで、予測がつかない園児の行動を把握し、リスクを軽減することができます。

 

・登園管理

登降園時間は、保護者対応や連絡事項確認なども重なり、多忙になりがちです。そのため、正確な登降園時間を把握することが困難であることに課題を感じている保育園も少なくありません。しかし、パネルにかざすだけで時間を記録してくれるICカードや、タブレットなどで児童たちの登園状況を管理できるツールを導入することで、今までよりも楽に、かつ正確に登園管理できるようになるでしょう。

 

・AI機能搭載のWEBカメラ

園での様子を見守り、危険な状態のときはアラートを流すことができます。特に睡眠中、窒息や乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクとなる子どものうつぶせ寝を防ぐため、うつぶせ寝が50〜60秒続くと、アラームで保育士に知らせてくれるものもあります。

 

・登園バスでの降ろし忘れを防ぐツール

シートセンサーやモーションセンサーを用いて子供がバス内に残っていないか確認する仕組み、紙またはデジタルのチェックリストやQRコードによる乗降確認、GPS追跡およびアプリ通知によるリアルタイム監視、音声およびビジュアルアラームシステムの導入など、これらを組み合わせることで、子供の安全を確保し、降ろし忘れを防止できます。

手間を減らす便利ツール

・保護者との連絡を容易にするアプリの導入

行事やクラスの出来事などを保護者へお知らせする際に、電話や手紙で伝える園は多いかもしれません。しかしながら、紙管理は抜け漏れやトラブルの要因となります。そこで、DXにより園児情報管理をデジタル上で管理することで、保育士の負担が軽減されるでしょう。

さらに、イベント情報の配信やスケジュール管理など多くの行事を把握でき、園児の様子を写真や動画に収めて配信することで、園での生活が把握でき安心感につながる効果も期待できます。

保育園でのDX導入の注意点

環境を整備する必要がある

DX化を進めるためには、まずITインフラの整備が必要であり、初期費用がかかります。具体的には、インターネット環境やWi-Fi環境の整備、パソコンやタブレット端末の導入、セキュリティシステムの構築、そして保育ICTシステムの導入が必要です。しかしながら、業務のICT化に伴うシステム導入費用や研修のオンライン化に必要な費用を支援する補助金も提供されています。ただし、条件や補助額は自治体によって異なるため、各自治体のホームページで交付要綱や申請方法を確認することが重要です。

ITの知識やスキルが求められる

保育園のDX化を進めるには、ITの知識やスキルが求められます。しかし、ITに不慣れな園長や保育士が多いため、ICTシステムを導入していない、または導入後も十分に活用できていない保育施設も少なくありません。効果的に活用するための対策として、ICTシステム導入時のガイドライン作成や研修費用の補助などが行われています。さらに、保育DXに関する説明会を実施している自治体もあります。ICTシステムを導入するだけでなく、国や自治体の支援を活用して職員のICTスキル習得に取り組むことも重要です。

サイバー攻撃などのリスクがある

デジタル技術の活用には、サイバー攻撃などのリスクが伴います。過去には、保育園向け連絡帳アプリで不正アクセスによる個人情報流出が発生した事例もあります。セキュリティ対策が施されているシステムを選ぶことが重要ですが、保育職員のITリテラシーを向上させることも同様に重要です。

ぜひ、保育園・幼稚園DX化の検討を

保育施設では、今後ますますDXの動きが進むと予想されます。実際に使いこなせるか不安を感じる人は、利用時のサポート体制が整ったサービスを選択することが賢明です。業務効率化による保育の質の向上や保育士の確保、コスト削減を実現するためにも、DX化を検討しましょう。

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